男と女、痛みに強いのはどちらか?

電気刺激による痛みの耐性は男性の方が女性より強い

 被験者

現存痛がなく,過去に重篤な痛み体験のない健康な大学生30名を被験者とした。
被験者は実験者と既知の女子7名(A群)、初対面の女子12名(B群)、初対面の男子11名(C群)の3郡に分けられた。

 実験方法

ベッド臥床した被験者の心電図、局所発汗量、皮膚温を測定した。
VisualAnalogue Scale(VAS )で痛みを全く感じない状態を0,耐えられない痛みを100とし、被験者が70~80の痛みを訴えた時の電圧に固定して電気刺激を行い、実験中痛みをVASで表現させた。 

 結果

VASで100の 強さの痛み、すなわち耐痛閾値を測定したところ男子の閾値が女子より高い傾向が認められた。電気刺激部位の皮膚温と耐痛閾値は ,C群が最も高かった。C群においてのみ耐痛閾値と皮膚温の間には優位な相関関係が見られた。安静時における心電図RR間隔とRR-CVはA群、B群、C群の順に大きく、局所発汗量は反対にその順に少なかった。
 

 注射部位の皮膚の痛みは女子の方が弱い

 被験者

極度の空腹や満腹状態でない,疲労感や不安の訴えのない, また身体に痛みがない男子学生27名,女子学生61名の計88名 (18-37才)を 被験者に選んだ。

 実験方法

注射針刺入部としてよく選択されている三角筋,前肘,手背各部の皮膚痛覚閾値を, タングステン製 (直径140μ m)の 刺激毛を用 いて痛点分布密度を測定する方法で調べた。
三つの刺激部位皮膚表面上に1名につき計10区画マジックで皮膚上に印をつけた。1区画2×2mmの中を約0 5mm間隔で16点,刺 激毛で順次刺激 した。
刺激された皮膚感覚点に生じた感覚を4種類に大別し、被験者に答えさせた。

*1

 結果

その結果,三 つの皮膚領域 とも, 痛点分布密度(prick painとdull painの総数)は 男性より女性の方が有意に大きかった (平均痛点数 :男,7.6-11.0/4 mf,女,102-122/4 mr)。
部位別では,手背部 (男,76± 47/4 mf,女 ,102± 42/4mイ ),三角筋部 (男,91± 50/4m`,女 ,107± 44/4mイ ),前肘部 (男,110± 41/4m`,女 ,121± 33/4mf)の 順で痛点分布密度が小さかった。
この傾向は注射針刺入時の鋭い痛みに相当するprick painのみの分布に着目しても同様であった。

 健康な青年層では,女性は男性より痛覚闘値が低いこと,そして手背部の間値は比較的高いことを考察して注射や採血を行 うべきであると結論した。

上肢の注射部位における皮膚痛覚閾値の検討

 

 

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*1:皮膚感覚の分類
1、刺激により瞬時に生 じる,強 い,刺すような痛み。prick painに相当するもの。
2、1よ りも遅 く生 じる,弱 い痛み。触覚やかゆみ感覚,熱 感が混在することがある (dull pain)。
3、触覚または圧覚。感覚は全 く混在しない。
4、無感覚。